色素増感オタが非オタの彼女に色素増感世界を軽く紹介するための10本

偉大な元増田さんはこっちアニオタが非オタの彼女にアニメ世界を軽く紹介するための10本
書こうと思った偉大な改変を作ったちゃっぴーさんのはこっち化学オタが非オタの彼女に化学世界を軽く紹介するのための10物質 - 有機化学日誌

まあ、どのくらいの数の色素増感オタがそういう彼女をゲットできるかは別にして、「オタではまったくないんだが、しかし自分のオタ趣味を肯定的に黙認してくれて、その上で全く知らない色素増感太陽電池の世界とはなんなのか、ちょっとだけ好奇心持ってる」ような、ヲタの都合のいい妄想の中に出てきそうな彼女に、色素増感太陽電池のことを紹介するために見せるべき10要素を選んでみたいのだけれど。

(要は「脱オタクファッションガイド」の正反対版だな。彼女に太陽電池を布教するのではなく相互のコミュニケーションの入口として)

あくまで「入口」なので、理解に過大な負担を伴うマニアックな測定は避けたい。できればニュースに出てる物質、少なくともTech-On!にとどめたい。あと、いくら色素増感太陽電池の基礎といっても古びを感じすぎるものは避けたい。太陽電池好きが『CITIZEN Eco-Drive VITRO』は外せないと言っても、それはちょっとさすがになあ、と思う。

そういう感じ。

彼女の設定は

科学知識はいわゆる「学術論文」的なものを除けば、中学校程度の理科は知ってる
サブカル度も低いが、頭はけっこう良い

という条件で。

まずは俺的に。出した順番は実質的には意味がない。

酸化チタン

まあ、いきなりかよとも思うけれど、「グレッツェル以前」を濃縮しきっていて、「グレッツェル以後」を決定づけたという点では、外せないんだよなあ。化粧品に入ってるし。

ただ、ここでオタトーク全開にしてしまうと、彼女との関係が崩れるかも。

情報過多な酸化チタンの数々について、どれだけさらりと、嫌味にならず濃すぎず、それでいて必要最小限の情報を彼女に伝えられるかということは、オタ側の「真のコミュニケーション能力」の試験としてはいいタスクだろうと思う。

動作原理

アレって典型的な「オタクが考える一般人に受け入れられそうな内容(そうオタクが思い込んでいるだけ。実際は全然受け入れられない)」そのもの

という意見には半分賛成・半分反対なのだけれど、それを彼女にぶつけて確かめてみるには一番よさそうな素材なんじゃないのかな。

「化学屋としてはこの原理は“光合成”みたいでいいと思うんだけど、率直に言ってどう?」って。

リチウム

ある種のES-DSSCが持ってるリチウムイオン電池への憧憬と、電解液の中のリチウムイオン濃度のオタ的なこだわりを彼女に紹介するという意味ではいいなと思うのと、それに加えていかにも化学的な
ヨウ素イオンのカウンターカチオン」を体現するリチウム
「電化移動の主役」を体現するリチウム
の2つの観点をはじめとして、合成するのにも出てきたりしてオタ好きのする用途がちりばめられている、紹介してみたい理由。

ルテニウム錯体

たぶんこれを見た彼女は「最近アクセサリーに使われてるよね」と言ってくれるかもしれないが、そこが狙いといえば狙い。

これほどの高効率色素がその後続いていないこと、これが触媒として大人気になったこと、スイスなら大量生産になって、それが日本に輸入されてもおかしくはなさそうなのに、日本国内でこういうのがつくられないこと、なんかを非オタ彼女と話してみたいかな、という妄想的願望。

耐久性

「やっぱり太陽電池は人間が豊かに暮らすためのものだよね」という話になったときに、そこで選ぶのは「変換効率」でもいいのだけれど、そこでこっちを選んだのは、実用化には一番のネックだから。

断腸の思いでテストにテストを重ねてそれでも動かなくなる、っていう耐久性が、どうしても俺の心をつかんでしまうのは、その「湿式」ということへの諦めきれなさがいかにも化学的だなあと思えてしまうから。

耐久性を俺自身はそんなに悪いとは思わないし、もうちょっとよくなるだろうとは思うけれど、一方でこれがシリコンや化合物系だったらきっちりJIS規格をクリアしてしまうだろうとも思う。

なのに、各所に頭下げて迷惑かけて固体化にしてください、というあたり、どうしても「実用化に至っていない太陽電池」としては、たとえ色素増感太陽電池がそういう電池でなかったとしても、親近感を禁じ得ない。欧米でのバルクへテロ接合型太陽電池の研究の多さと合わせて、そんなことを彼女に話してみたい。

写真感光剤

今の若年層で写真の現像をしたことがある人はそんなにいないと思うのだけれど、だから紹介してみたい。
色素増感太陽電池よりも前の段階で、色素の化学とか光をつかった酸化還元反応とかはこの材料で頂点に達していたとも言えて、こういうクオリティの発明が一般的にでこの時代に行われていたんだよ、というのは、別に俺自身がなんらそこに貢献してなくとも、なんとなく化学好きとしては不思議に誇らしいし、いわゆる携帯電話でしか写真を知らない彼女には見せてあげたいなと思う。俺も知らないけど。

黒鉛

色素増感太陽電池の「セル」あるいは「プロペラ回し」を実演して教えたい、というお節介焼きから、ということではなくて。「身近なもので色々試してみたい」的な感覚がオタには共通してあるのかなということを感じていて、だからこそデモセルには黒鉛対極以外ではあり得なかったとも思う。
「身近なものでも活用できる」というオタの感覚が今日さらに強まっているとするなら、その「オタクの気分」の源は鉛筆の芯にあったんじゃないか、という、そんな理屈はかけらも口にせずに、単純にプロペラが回るのを楽しんでもらえるかどうかを見てみたい。

インドリン色素(D205)

これは地雷だよなあ。地雷が火を噴くか否か、そこのスリルを味わってみたいなあ。
こういうほとんど個人の業績の色素をこういうかたちで論文化して、それが非オタに受け入れられるか
気持ち悪さを誘発するか、というのを見てみたい。

導電性ガラス

9つまではあっさり決まったんだけど10個目は空白でもいいかな、などと思いつつ、便宜的にを導電性ガラスを選んだ。

チタンから始まってガラスで終わるのもそれなりに収まりはいいだろうし、液晶以降のレアメタル時代の先駆けと
なった材料でもあるし、紹介する価値はあるのだろうけど、もっと他にいい作品がありそうな気もする。

というわけで、俺のこういう意図にそって、もっといい10個目はこんなのどうよ、というのがあったら教えてください。

「駄目だこの増田は。俺がちゃんとしたリストを作ってやる」というのは大歓迎。こういう試みそのものに関する意見も聞けたら嬉しい。



きっつー。元増田も改変してる人たちもみんなすごいな。正直疲れた。
以上ほぼテンプレ通り

感想

無理すぎるw
やってみたいからやってみただけみたいな感じになってしまった。
それはそうと、これ↓みそびれたんだけど、再放送誰か録画してくれないかなぁ…。うん。非常に気になる。
http://www.nhk.or.jp/zero/contents/dsp220.html

あと、なんか本質的におかしいところあったらごめんなさい。勉強不足です><。

あと謝辞。
色素増感太陽電池 Dye-Sensitized Solar Cell &ペロブスカイト太陽電池 Perovskite Solar Cell
東京大学の内田先生のHPをだいぶ参考にさせてもらいました。ていうか毎日見させてもらっています。